冬の12月になると「もう家庭菜園はお休みかな?」と思う方も多いかもしれません。
たしかに寒さが厳しくなる季節ですが、実は地域や育て方を工夫すれば、12月からでも植えられる野菜があるんです。
特に暖地や中間地では、春先に収穫を迎える豆類や玉ねぎなどを今の時期から育て始めることができます。
また、寒冷地でもプランター栽培やスプラウト栽培、さらには来春に向けた土づくりなど「今だからこそできる作業」があります。
この記事では、暖地・中間地・寒冷地の3つに分けて、12月に植えられる野菜や家庭菜園の楽しみ方をわかりやすく解説します。
ご自分の地域に合った方法を知って、冬でも菜園ライフを楽しんでみませんか?
地域区分の目安(暖地・中間地・寒冷地)

「12月に植えられる野菜」といっても、地域によって気候条件が大きく異なります。まずはご自分のお住まいの地域がどの区分に当てはまるのかを確認してみましょう。
暖地(冬でも比較的温暖な地域)
- 気温の目安:冬の平均気温が 5℃以上
- 特徴:霜が少なく、雪もほとんど積もらない
- 地域例:関東南部、東海沿岸、近畿南部、四国、九州沿岸部など
- イメージ:ベランダでプランター栽培も真冬から可能
中間地(日本の大部分を占める地域)
- 気温の目安:冬の平均気温が 0〜5℃
- 特徴:冬は霜が降り、雪は一時的に積もる程度
- 地域例:関東北部、東北南部、北陸平野部、中国地方の内陸、近畿北部など
- イメージ:防寒対策をすれば冬まきも可能
寒冷地(冬は厳しい寒さの地域)
- 気温の目安:冬の平均気温が 0℃以下
- 特徴:積雪や凍結が長期間続く
- 地域例:北海道、東北北部、長野や岐阜などの高地
- イメージ:露地栽培は難しく、12月は「土づくりや準備の時期」
ご自分の住んでいる地域の気候に近いものを参考にして、どの野菜を選ぶか考えていきましょう。
12月に植えられる野菜の特徴

12月は気温が下がり、日照時間も短くなるため、野菜にとっては厳しい環境です。それでも、冬越しに強い野菜や、寒さを利用しておいしく育つ野菜があります。ここでは、冬栽培の特徴を押さえておきましょう。
冬に植えられる野菜の共通点
- 寒さに強く、霜や低温に耐えられる
- 冬の間に根を張り、春に一気に成長するタイプが多い
- 生育スピードは遅めだが、管理をしっかりすればしっかり育つ
12月栽培の注意点
- 日照不足:日照時間が短いため、生育が遅くなる。日当たりのよい場所を確保することが大切。
- 低温対策:寒風や霜から守るため、不織布やビニールトンネルを活用する。
- 水やり:気温が低いので蒸発が少なく、乾燥気味に管理。水のやり過ぎは根腐れの原因になる。
冬栽培ならではのメリット
- 寒さにあたることで糖度が増し、甘みの強い野菜になる(例:ホウレンソウ)
- 害虫が少なく、防除の手間が減る
- 春先に向けて早めの収穫が期待できる
冬は「育たない」と思いがちですが、ポイントを押さえればむしろ管理が楽になる季節でもあります。次は、地域ごとにおすすめの野菜を具体的にご紹介していきます。
暖地で12月に植える野菜

冬でも比較的温暖な暖地では、12月でも植えられる野菜が多くあります。春先に向けて育つ野菜が多いので、今のうちに植えておくと来年の収穫が楽しみになります。
豆類(スナップエンドウ・ソラマメ)
豆類は冬の間に根をしっかり張り、春から一気に成長するタイプです。暖地では12月に植えても十分間に合います。
スナップエンドウ・絹さや
- 種まきは12月上旬まで可能
- 霜よけに不織布やビニールトンネルをかけて保温する
- 春になると甘い実が収穫できる
ソラマメ
- 12月でも定植可能(苗を植えるのが安心)
- 根を深く張るため、プランターよりも地植え向き
- 冬の間は小さく育ち、春にぐんと大きくなる
玉ねぎ・ニンニク
冬越し野菜の代表格です。12月に植え付ければ春以降にしっかり育ちます。
玉ねぎ
- 苗の遅め植えなら12月頭まで可能
- 株元にわらやマルチをして霜を防ぐ
- 寒さに強く、家庭菜園で定番の冬野菜
ニンニク
- 球根を土に植えるだけで簡単に育つ
- 12月中旬ごろまでなら植え付け可能
- 長期栽培なので、春以降の収穫を楽しみに
プランターでできる葉物野菜
暖地では霜対策をすれば、ベランダでも葉物野菜を育てられます。成長はゆっくりですが、寒さで甘みが増して美味しくなります。
- ホウレンソウ:寒さに強く、冬に甘みが増す
- コマツナ:短期間で収穫できるので初心者におすすめ
- ベビーリーフ:少量ずつ長く収穫できる
このように暖地では、露地でもプランターでも栽培の選択肢が豊富です。次は、中間地で12月に植えられる野菜を見ていきましょう。
中間地で12月に植える野菜

中間地は冬に霜が降りたり、時折雪が積もる地域です。暖地より条件は厳しくなりますが、防寒対策をしっかりすれば、12月でも育てられる野菜があります。
タマネギ苗(遅め植え)
- 12月上旬までなら遅めの植え付けが可能
- 株が小さい苗は寒さに弱いため、霜よけを忘れずに
- マルチングやわらを敷くと根が安定しやすい
ソラマメ
- 地域によっては11月までが一般的ですが、暖冬の年は12月上旬でも定植可能
- 防寒用にビニールトンネルをかけると安心
- 春にぐんと成長し、大きな収穫につながる
イチゴ苗
- 12月でも苗の定植が可能(特に中旬までがおすすめ)
- 寒さにあてることで春以降に花芽がつきやすくなる
- 株元にわらを敷いて霜対策をすると良い
小さなトンネル栽培で楽しむ葉物
中間地では露地での葉物栽培は厳しくなりますが、トンネルや不織布を活用すればまだ楽しめます。
- ホウレンソウ:寒さで甘みが増し、冬ならではの美味しさ
- コマツナ:発芽さえすれば育ちやすい
- チンゲンサイ:コンパクトでも育てやすい
中間地では「防寒対策をしながら栽培を楽しむ」のがポイントです。では、次は寒冷地での12月栽培について見ていきましょう。
寒冷地で12月に植える野菜

寒冷地では気温が0℃以下になる日が多く、積雪や凍結も長期間続きます。
そのため、露地栽培はほとんど不可能です。けれども、工夫次第で12月からでも野菜を楽しむ方法があります。
露地はお休み、プランター中心
- 地面が凍結するため、畑での種まき・植え付けは難しい
- ベランダや玄関先でプランター栽培を楽しむのがおすすめ
- 室内に取り込める鉢を使うと管理がしやすい
スプラウト・室内栽培
寒冷地の12月におすすめなのが、室内でできるスプラウト栽培です。
- カイワレダイコン、ブロッコリースプラウト、豆苗などが代表例
- 日当たりのよい窓辺や、LEDライトを利用して育てられる
- 1〜2週間程度で収穫できるので、冬でも新鮮な野菜が食卓に
来春に備えた土づくり
寒冷地では冬に栽培できる作物が限られるため、12月は「準備の季節」としても大切です。
- 堆肥や石灰をまいて畑を休ませる
- 雪解け後にスムーズに作業ができるよう、畝を立てておく
- 雑草や残渣を処理し、病害虫の越冬を防ぐ
寒冷地の12月は「無理に育てる」よりも「春に向けた仕込み」を重視すると、次のシーズンに差がつきます。次は、地域を問わず実践できる冬の工夫を見ていきましょう。
地域を問わず12月におすすめの工夫

「12月に植えるのは難しいかも…」と思っている方も大丈夫。
地域を問わず、家庭菜園を楽しむための工夫があります。ベランダや庭、ちょっとしたスペースでもできる方法を紹介します。
ビニールトンネル・不織布の活用
- 小さな畝にビニールをかける「トンネル栽培」は、霜や寒風から野菜を守る定番の方法
- 不織布をベタ掛けするだけでも保温効果があり、昼間の温度を逃さない
- 簡単に設置できるので初心者にもおすすめ
簡易温室やプランター栽培
- ホームセンターで手に入るミニ温室を使えば、冬でも安定して育てられる
- プランターは移動ができるので、昼は日当たりの良い場所へ、夜は室内に取り込む工夫が可能
- 少量ずつでも育てやすく、ベランダ菜園にぴったり
冬だからこそ育てやすいスプラウト類
- カイワレ大根、ブロッコリースプラウト、豆苗などは室内で栽培可能
- 収穫までが早く、1〜2週間で食べられるので食卓がすぐににぎやかに
- キッチンでも手軽に始められるので、家庭菜園初心者におすすめ
こうした工夫を取り入れると、寒さが厳しい時期でも野菜づくりを楽しめます。次は、冬を利用して「来春に向けた準備」をする方法をご紹介します。
来春に向けた準備

12月は栽培できる野菜が限られますが、来年の春に向けて土や畑を整える大切な季節でもあります。冬のあいだにしっかり準備をしておけば、春以降の家庭菜園がぐっとスムーズになります。
土づくり
- 堆肥や腐葉土をすき込み、ゆっくり土を休ませる
- 酸性に傾いた土は石灰をまいて中和しておく
- 春先にすぐ種まきや苗植えができる状態に整えておくと安心
病害虫対策
- 畑に残った野菜の根や葉を処分しておくことで、害虫や病気の越冬を防げる
- マルチシートを張っておくと雑草が生えにくく、土も保温される
- 不要な支柱やネットも片づけて清潔にしておくと次シーズンの準備が楽
畝立て・区画整備
- 雪や雨の前に畝を立てておくと、春に土が乾きやすく作業がしやすい
- 家庭菜園スペースを整理し、来年植える作物のローテーションを考えておく
- プランター派も、この時期に古い土をリフレッシュしておくと良い
冬のあいだに準備をしておけば、春のスタートダッシュが決まります。最後に、この記事全体を振り返りながら、地域別に「12月に植えられる野菜」を整理してみましょう。
まとめ
12月は寒さが厳しくなる季節ですが、地域や栽培方法を工夫すればまだまだ家庭菜園を楽しめます。ポイントをもう一度整理してみましょう。
暖地で植えられる野菜
- スナップエンドウ・絹さや
- ソラマメ
- タマネギ・ニンニク
- ホウレンソウ・コマツナ・ベビーリーフ
中間地で植えられる野菜
- タマネギ苗(遅め植え)
- ソラマメ(地域や気候条件による)
- イチゴ苗
- ホウレンソウ・コマツナなどの葉物(トンネル栽培)
寒冷地でできること
- プランターや室内でスプラウト栽培
- 来春に向けた土づくり・堆肥投入
- 畑やプランターの整理・準備
共通の工夫
- 不織布やビニールトンネルで防寒対策
- 簡易温室やプランター栽培で柔軟に楽しむ
- 冬は害虫が少なく、管理が楽になるというメリットも
地域や環境によってできることは違いますが、どんな場所でも「冬だからこそできる家庭菜園」があります。
自分の地域に合った方法を取り入れて、12月からの家庭菜園を楽しんでみましょう。


