小豆と金時豆、同じ“赤い豆”でも、実は少しずつ栄養の特徴が違うってご存じでしたか?
どちらも体にうれしい成分がギュッとつまっていますが、目的によって選ぶと、より健康的に取り入れられます。
「むくみが気になる」「便通をよくしたい」「美容にいい豆ってどれ?」など、気になるポイントは人それぞれ。
そこで今回は、文部科学省の『食品成分表』など信頼できる情報をもとに、小豆と金時豆の栄養の違いをやさしく比べてみました。
なんとなく選んでいた豆が、自分の体質や悩みにしっくり合うと、ちょっと得した気分になりますよ。
小豆と金時豆の栄養の違い・ざっくり結論

先に結論をまとめると、小豆と金時豆はどちらもとても優秀な「ヘルシー豆」です。
そのうえで、それぞれに少しずつ得意分野があります。
- 小豆
→ カリウムやポリフェノール、サポニンが豊富。
むくみ対策や、美容・血流サポートを意識したいときに心強い豆です。 - 金時豆(いんげん豆の仲間)
→ 食物繊維、カルシウム、鉄、ビタミンB1、葉酸などがやや多め。
便通をよくしたい人や、貧血や骨の健康が気になる人にうれしい栄養バランスです。
どちらか一方だけが優れているというより、
- 小豆=むくみケアやポリフェノール重視
- 金時豆=食物繊維とミネラル重視
といった「キャラクターの違い」と考えると分かりやすいと思います。
あとは、あんこや甘煮にすると砂糖の量がぐっと増えるので、どの豆を選ぶかと同じくらい、「砂糖をどのくらい使うか」も大事なポイントです。
次は、この結論のもとになっている栄養成分を、もう少し具体的な数字もまじえながら見ていきましょう。
小豆と金時豆の基本の栄養を比べてみよう

ここからは、小豆と金時豆の「ゆでた状態100gあたり」の栄養を、数字を使って分かりやすく比べていきます。
結論としては大きな差はありませんが、「選ぶときのヒント」になる部分があります。
■ カロリーと三大栄養素のちがい
どちらもヘルシーで、ほとんど同じくらいの栄養バランスです。
【エネルギー】
・小豆:約124kcal
・金時豆:約127kcal
【たんぱく質】
・小豆:約8.6g
・金時豆:約9.3g
【脂質(脂肪)】
・小豆:約0.8g
・金時豆:約1.2g
【炭水化物(利用可能な量)】
・小豆:約18g前後
・金時豆:約17g前後
どちらも低脂質で、日常のたんぱく源として使いやすい豆です。
■ 食物繊維は金時豆のほうが多め
腸活やダイエットで気になる食物繊維は、ちょっと差があります。
【食物繊維】
・小豆:約8〜9g
・金時豆:約13g
金時豆のほうがしっかり多いため、便通を整えたいときには心強い存在です。
とはいえ、小豆も一般的な食材と比べればかなり多めなので、どちらも腸にうれしい食材です。
■ 次に見ておきたいポイント
ここまでで「基本的な栄養は似ている」「食物繊維だけは金時豆が少しリード」という特徴が見えてきました。
このあとは、カリウム・カルシウム・鉄などの ミネラルの違い に注目していきます。
「どちらが何に強いか」が、さらにハッキリしてきますよ。
ミネラルの違いをチェック!むくみ・骨・貧血ケアのヒントに

小豆と金時豆は、カロリーや三大栄養素が似ていますが、「ミネラル」には少し特徴の違いがあります。
体の調子に合わせて選ぶと、より取り入れやすくなります。
■ カリウムは小豆がやや多い
カリウムは、体の余分な塩分を外に出す手伝いをしてくれる成分です。
【カリウム】
・小豆:約430mg
・金時豆:約410mg
むくみが気になる日や、塩分が多い食事が続いたときは小豆が少し頼もしいです。
小豆は「ポリフェノール+カリウム」の組み合わせで、スッキリ感を意識したいときに向いています。
■ 骨の健康を意識するなら金時豆
カルシウムは、骨や歯の材料になる大事なミネラルです。
【カルシウム】
・小豆:約27mg
・金時豆:約62mg
金時豆は小豆の約2倍以上のカルシウムを含んでいます。
ふだん乳製品が少ない人や、骨の強さが気になる人におすすめです。
■ 鉄分が少し多いのも金時豆
貧血が気になるときに意識したい鉄分もチェックしておきましょう。
【鉄】
・小豆:約1.6mg
・金時豆:約2.0mg
大きな差ではありませんが、金時豆の方がほんの少し多めです。
ビタミンB1・葉酸なども金時豆のほうがやや上なので、「疲れやすい」「元気を出したい」というときにも向いています。
■ ミネラルは「小豆=むくみケア」「金時豆=骨・貧血ケア」
ここまでをまとめると、ミネラル面の特徴はこんなイメージです。
- むくみ・スッキリ感を意識 → 小豆
- 骨を強くしたい・鉄分を補いたい → 金時豆
どちらも栄養豊富ですが、「どんなときに食べたいか」で選ぶと、より取り入れやすくなりますよ。
次は、小豆と金時豆の“美容・健康で注目されるポリフェノール”の違いを見ていきます。
味の好みだけでなく、働きにも個性があるんです。
美容・健康で注目される「ポリフェノール」の違い

小豆と金時豆は、どちらも「抗酸化作用」があることで知られています。
その理由は、赤い色や風味の元になっている ポリフェノール がたっぷり含まれているからです。
ただし、含まれている種類には少し違いがあります。
■ 小豆は“カテキン”や“サポニン”が豊富
小豆には、緑茶にも含まれる カテキン がたくさん含まれています。
さらに、豆類に特徴的な サポニン も多く、健康面でよく注目される成分です。
小豆の代表的な成分
・カテキン
・サポニン
・小豆特有のポリフェノール(抗酸化力が高いとされる)
抗酸化作用が強く、むくみ対策・血流サポート・美容ケア などに向いていると言われます。
ポリフェノール量は「赤ワインより高い」というデータも紹介されるほど、かなり豊富な豆です。
■ 金時豆は“アントシアニン”が特徴
赤い皮が印象的な金時豆は、その色の正体が アントシアニン系ポリフェノール。
ブルーベリーなどと同じ“色素ポリフェノール”が含まれます。
金時豆の代表成分
・アントシアニン(赤い色の元)
・カテキングルコシド
・フラボノイド類
こちらも抗酸化作用が強く、疲れ目のケア・紫外線対策・エイジングケア に向いていると言われます。
小豆とは違うタイプのポリフェノールなので、働き方が少し違うのもポイントです。
■ ポリフェノールは“どっちが上”ではなく“種類が違う”
ポリフェノールは数百種類以上あり、単純に「小豆のほうが強い」「金時豆が最強」とは言えません。
大事なのは、それぞれの種類に役割があるということです。
- 小豆 → カテキン・サポニン:むくみ・血流・美容
- 金時豆 → アントシアニン:目のケア・紫外線対策・抗酸化
どちらも、普段の食生活に取り入れることで体をサポートしてくれる良い豆です。
ここまでで、小豆と金時豆の特徴がしっかり見えてきたと思います。
次は、
- 自分の体質や悩みに合わせた選び方
- できればヘルシーに食べるコツ
を分かりやすくまとめていきますね。
どっちを選ぶ?健康目的に合わせた豆の選び方

ここまで小豆と金時豆の特徴を見てきましたが、「じゃあ、私はどっちを食べたらいいの?」と迷う方のために、目的別の選び方をまとめました。
■ むくみ・スッキリ感を意識したいなら小豆
小豆は、カリウムやサポニンがしっかり含まれています。
塩分の摂りすぎや、立ち仕事・座りっぱなしのむくみ対策にぴったりです。
・夕方になると脚が重い
・塩分の多い食事が続いている
・スッキリしたい、美容を意識したい
あずき茶・ゆで小豆・お赤飯などに取り入れやすいです。
■ 便通をよくしたい・腸活したいなら金時豆
金時豆は、食物繊維がしっかり多め。
お腹の調子を整えたいときや、満腹感を長く保ちたい人に向いています。
・便秘気味
・間食を減らしたい
・お腹から整えたい
サラダやスープ、煮豆の“砂糖控えめ”アレンジがおすすめ。
■ 骨の健康・鉄分を意識したいなら金時豆
カルシウムと鉄は金時豆に分があります。
・貧血気味
・骨の強さが気になる
・疲れやすい
ひじき・ほうれん草・小松菜などと組み合わせると、より栄養バランスが良くなります。
■ ヘルシーに食べたいときの“落とし穴”は砂糖の量
ここが実は一番大事なポイントです。
豆そのものはヘルシーですが、甘煮やあんこになると砂糖で一気にカロリー&糖質が増えます。
ヘルシーに食べるコツ
- 砂糖は「半量〜1/3量」でも十分おいしい
- 甘さはハチミツや黒糖に置き換えてもOK
- サラダやスープに“ゆで豆のまま”足すとより健康的
- 間食代わりに少量ずつ取り入れるのも◎
「甘くしないで食べる」という選択肢があるだけで、豆の健康メリットはぐっと増えます。
■ どちらも日常に取り入れやすい“健康サポート食材”
小豆はスッキリ系、金時豆はしっかりミネラル系。
特徴は違いますが、どちらも身体づくりに役立つ頼もしい豆です。
参考にした主な情報源
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
小豆・いんげんまめ(赤いんげん・金時豆を含む)のエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラルなどの成分値を確認する際に参照しました。 - 公益財団法人 日本豆類協会「豆の栄養成分表」
ゆで豆・乾燥豆それぞれの栄養成分を豆の種類別に比較するために参照しました。 - 公益財団法人 日本豆類協会「豆の栄養」
豆類全体の特徴(たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維・ポリフェノールなど)についての解説を参考にしました。 - 公益財団法人 日本豆類協会「豆の主な機能性成分」
小豆や金時豆に含まれるサポニン・ポリフェノールなど、機能性成分の説明にあたって参照しました。 - 全国調理食品工業協同組合「⑤豆は不思議なエネルギー源・栄養・機能性」
小豆や金時豆に多いカテキングルコシド、アントシアニン、フラボノイドなどのポリフェノールと、その働きについての説明を参考にしました。 - ホクレンGREEN WEB「毎日まめに、北海道産小豆」
小豆の高たんぱく・低脂質性、ポリフェノール量(赤ワインの1.5~2倍とされる点)に関する記述を確認する際に参照しました。


