毎冬1m前後の雪が積もる地域では、「冬が来る前に庭をどう整えるか」が春の庭づくりを大きく左右します。
雪で枝が折れたり、鉢がつぶれたり、雪どけ後に排水が悪くなる……。
そんな“雪国あるある”を防ぐためには、冬の入り口でのちょっとした片づけと準備がとても大切です。
この記事では、積雪1m前後の豪雪地帯の庭を想定して、
- 片づけるべきもの
- 植物の冬支度
- 雪や凍結への対策
の3つを分かりやすく解説します。
「どこから手をつければいいの?」という方でも、ひとつずつ進めれば大丈夫。
春に気持ちよく庭に出るための“冬前のひと手間”を、一緒に整えていきましょう。
まずは庭の“モノ”の片づけから

豪雪地帯の庭の冬準備は、植物の手入れよりも先に「モノの片づけ」から始めるのがポイントです。
1m前後の雪が積もる地域では、思っている以上にいろいろな物が埋もれたり、壊れたり、行方不明になったりします。
まずは冬前に片づけておきたい代表的なものを整理しておきましょう。
1-1.鉢植え・プランターの整理
積雪が多い地域では、鉢そのものが雪の重みで割れることがあります。特に素焼き鉢やプラスチック鉢は注意が必要です。
- 寒さに弱い植物 → 鉢ごと室内へ移動
- 耐寒性のある植物 → 外壁際に寄せてまとめる
- 空き鉢 → 洗って乾かし、屋内保管
★注意点:鉢スタンドは必ず片づける!
アイアン製・アルミ製・木製の鉢スタンドは、豪雪地帯では“置きっぱなし=変形・破損”の典型例です。
- 細い脚に雪の重さが集中して曲がる
- スタンドごと雪に埋もれて倒れる
- 春に見ると、ぺしゃんこに変形して使えなくなっている
特に二段・三段のタワー型スタンドは壊れやすいため、必ず屋内にしまっておきましょう。
1-2.ガーデン雑貨・家具・オーナメント
庭に出しっぱなしにしがちなチェアや小物も、豪雪地帯では雪と凍結により劣化しやすくなります。
- プラスチック製チェア・テーブル
- 木製ベンチ
- 陶器の置物・ランタン
このようなアイテムも雪でヒビが入ったり潰れたりします。
また、塗装が剥がれたりもするので、基本は屋内保管。
どうしても出しておく場合は軒下へ。
1-3.ホース・散水用具・イルミネーション
水まわりと電源まわりは、豪雪地帯でトラブルが起きやすいポイントです。
- ホース内の水が凍結して破裂する
- 散水ノズル・ジョイントの凍結破損
- イルミネーションのコードが雪に埋もれて傷む
ホースは必ず水抜き→室内保管。屋外の水栓は元栓を閉め、凍結防止カバーを早めに装着しておきましょう。
1-4.落ち葉・枝・ゴミのひと掃除
落ち葉や枯れ枝を放置すると、雪どけの頃に排水不良や病害虫の越冬につながります。
完璧に掃除しなくても、排水溝まわりだけでも整えておくと春がラクになります。
植物の冬支度

モノの片づけが終わったら、次は庭の主役である植物を“冬仕様”に整えていきます。
積雪1m前後の豪雪地帯では、雪の重みや凍結によるダメージをできるだけ減らすことが大切です。
2-1.一年草は引き抜いて片づける
秋まで咲いていた一年草は、霜が降りる頃にはほぼ役目を終えています。
- 冬の間に腐敗しやすい
- 病害虫の越冬場所になりやすい
- 春の植え替え作業がしにくくなる
これらの理由から、冬前に抜き取って処分しておくのがベストです。
2-2.宿根草は“地上部を切り戻す”
豪雪地帯で特に重要なのが宿根草の切り戻しです。
雪が1m積もると、枯れた茎や葉が雪で押されて折れたり、株元が蒸れたりします。
- 完全に枯れたら、地際近くまでカット
- 株元の枯葉は軽く掃除
- 仕上げに薄くマルチング(腐葉土など)で根を保護
2-3.低木・樹木は雪折れ防止の軽い剪定
積雪が多い地域では、枝の“重み対策”が大切です。
- 枯れ枝の除去
- 横に広がる枝は軽く減らす
- 絡み合う枝は整理しておく
無理に強く剪定する必要はありませんが、「雪が積もった時に折れそうな枝」を中心に調整しておくと安心です。
2-4.豪雪地帯ならではの「冬囲い」
樹木の種類によっては、冬囲いが必要なものがあります。
- コニファーなど柔らかい枝の木
- 横に広がりやすい低木
- 雪に弱い細枝の多い樹種
冬囲いの代表的な方法は以下の通りです。
- 合掌式:枝を円錐形に縄でまとめ、雪の重みから守る
- 防雪囲い:ネットやワラで覆い、雪と風から保護
- 雪吊り:枝を広げたまま縄で支え、重さを分散させる
2-5.常緑樹の“雪の張りつき”対策
常緑樹は雪が枝に張りつきやすく、重みでしなって折れやすい種類です。
- 枝を軽く減らして風通しを良くする
- 株元にマルチングをして根を保護
- 大雪後は安全な範囲で雪を軽く払い落とす
植物の冬支度では、「枯れた部分を整理し、雪の重みを減らすこと」がポイントです。
冬の環境に強い花壇づくり

豪雪地帯では、植物そのものの冬支度だけでなく、花壇の“環境”を冬仕様に整えることも大切です。
雪の下での土の状態や、雪どけ時の水や泥の動きによって、春の庭の立ち上がりが大きく変わります。
花壇の土は“冬の間に育てる”
豪雪地帯では、雪に覆われることで花壇の土の温度が安定します。
そのため、冬の間に堆肥がゆっくり分解され、春にはふかふかの土になりやすくなります。
- 腐葉土や堆肥を軽くすき込む
- 深く掘り返す必要はなし
- 花壇の表面を軽くならす程度でOK
「雪の下で土が眠る」のではなく、「雪の下で土がじっくり育つ」というイメージです。
宿根草や低木のマルチング
雪どけ前後は地面の温度変化が大きく、根にダメージが出やすい時期です。
そこで役立つのがマルチングです。
- 腐葉土
- ウッドチップ
- もみ殻
- 切り刻んだ枯葉
これらを株元にふんわり敷くことで、根の保温や泥はね防止、土の乾燥防止などの効果があります。
春に向けて「植え場所」を見直す
豪雪地帯では、雪が積もる場所とそうでない場所に差があります。
冬の時点で「どこにどれくらい雪が積もるのか」を知っておくと、春の植栽計画が立てやすくなります。
- 落雪ライン:屋根から雪が落ちる場所は植物がつぶれやすい
- 吹きだまり:雪山ができやすい場所は耐寒性の強い植物向け
- 雪が積もりにくい場所:玄関まわりなどは冬に強い植物が育ちやすい
花壇の環境を冬仕様に整えておくと、雪どけ後のダメージがぐっと減ります。
まとめ

豪雪地帯の庭の冬準備は、一つひとつの作業は小さくても、春の庭の立ち上がりに大きな差が出る大切な工程です。
今回のポイントをあらためて整理すると、次の3つにまとまります。
① 使わないものを片づける
鉢・鉢スタンド・ガーデン雑貨・ホースなど、雪でつぶれたり凍結しやすいものは、冬前にしっかり片づけておくと安心です。
② 植物を冬仕様に整える
一年草の処分、宿根草の切り戻し、樹木の軽い剪定、必要な木の冬囲いなど、雪の重みを減らす作業が春の芽吹きを助けます。
③ 花壇の環境を冬向けに整える
雪の下で育つ土の準備、根元のマルチング、泥はね防止、植え場所の見直しをしておくことで、雪どけ後のダメージを防ぎやすくなります。
ど豪雪地帯では「冬が来る前のひと手間」が春の景色を大きく変えます。
無理のない範囲で少しずつ整えて、雪国の庭ならではの静かな冬を楽しみながら、来春の芽吹きを待ちましょう。

