気づいたら、パレットがカチカチに……。
「もう落ちないかも」と諦めたくなるほど、アクリル絵の具って一度乾くと頑固ですよね。
実は、アクリル絵の具が落ちにくいのは“プラスチックの膜”になる性質があるから。
水に戻らないので、普通に洗ってもびくともしません。
でも大丈夫。
少しの工夫で、長いあいだ放置して固まった絵の具もちゃんと落とすことができます。
固まったアクリル絵の具はなぜ落ちにくい?

アクリル絵の具が乾くととても落ちにくくなるのは、乾く過程で「アクリル樹脂」という成分が硬い膜を作るからです。
この膜は水に溶けません。
“プラスチックの皮”のようなもので、乾いてしまうとパレットの表面にしっかり張り付いてしまいます。
水彩絵の具のように、再び水を加えれば溶けるわけではなく、一度固まったらほとんど元に戻りません。
だからこそ、完全に乾いてしまう前に拭き取るのが理想なのです。
それでも、作品づくりに夢中になっていると、つい時間を忘れてしまいます。
気づいたら、もうカチカチになっていて……なんてこともよくありますよね。
パレットの素材別!おすすめの落とし方
パレットの素材によって、絵の具の落としやすさは大きく変わります。
ここでは、プラスチック・金属・ガラス(陶器)それぞれに合った方法を紹介します。
● プラスチック製パレット
プラスチックは軽くて扱いやすい一方で、表面に細かい傷がつきやすく、そこに絵の具が入り込むと落としにくくなります。
まずは40〜50℃くらいのお湯に5〜10分ほど浸けて、固まった絵の具をふやかしましょう。
端のほうが浮いてきたら、古い歯ブラシや木のヘラで優しくこすります。
それでも落ちない場合は、アルコールや除光液を綿棒に少量つけてトントンと叩くように。
ただし、強い溶剤は素材を溶かすことがあるので、必ず目立たない場所で試してください。
● アルミ・金属製パレット
金属は熱や薬剤に強いので、しっかり洗浄したいときに便利です。
まずお湯でふやかし、それでもダメならアルコールスプレーを吹きかけて数分おきます。
すると表面の塗膜がやわらかくなり、スクレーパーやゴムべらでこすればペリッとはがれることもあります。
ただし、アルミは意外と柔らかい素材なので、金属ヘラで強くこすると傷がつくことがあります。
ヘラを使う場合はプラスチック製や木製を選びましょう。
● ガラス・陶器パレット
ガラスや陶器は表面がツルツルしているため、アクリル絵の具が比較的はがれやすい素材です。
乾いてしまっても、カッターの刃を寝かせてそっとすべらせると、意外と簡単にペリッと取れることがあります。
頑固に固まっている場合は、除光液やアクリルリムーバーをキッチンペーパーに染み込ませ、数分置いてからこすりましょう。
力を入れすぎるとガラスが割れることもあるので、ゆっくりと少しずつ落とすのがコツです。
どうしても落ちないときの裏ワザ

どう頑張っても落ちないときは、無理に削らずに“溶かす”方向で考えましょう。
アクリル絵の具は水では落ちませんが、「アクリルリムーバー」と呼ばれる専用クリーナーを使えば、固まった部分をやわらかくして取り除くことができます。
アクリルリムーバーは、画材店や通販で手に入ります。
綿棒やティッシュに少し含ませて固まった部分に当て、5分ほど置いてから拭き取るとスルッと落ちることがあります。
ただし、素材によってはツヤがなくなったり変色することもあるので、まずは端でテストしてから使ってください。
手元にリムーバーがない場合は、代用品として除光液(アセトン入り)やアルコールスプレーでもOKです。
軽い汚れなら、100均の除光液でも十分効果があります。
キッチンペーパーに含ませてパックのように当てておくと、ふやけてはがれやすくなります。
それでも落ちない場合の“最終手段”として、ラッカーうすめ液を使う方法もあります。
ただし、刺激が強く、においもきついので、必ず換気をして、ゴム手袋を着用しましょう。
また、プラスチック製パレットには向きません。塗膜と一緒に素材自体が溶けてしまうことがあります。
ここまで試しても落ちないときは、無理に落とそうとせず、上から新しい絵の具を使って「再利用パレット」として使うのもひとつの手です。
すべてをきれいに戻すより、作業に支障がないレベルで整えれば十分。
次に使うときのストレスが減るようにしておくことが大切です。
パレットを長持ちさせるための予防法

アクリル絵の具は、一度乾くと本当に落ちにくいので、「汚れをためない工夫」がいちばんの近道です。
ここでは、パレットを長持ちさせるための簡単な予防法を紹介します。
● 使ったあとすぐに拭く習慣をつける
作業が終わったら、絵の具が乾く前にティッシュやウェットシートで軽く拭き取ります。
たったこれだけで、固まる前に膜が取れるので、後片付けがぐっとラクになります。
少し乾いてしまった場合でも、湿らせた布で押さえて数分置けば、するっと落ちることがあります。
● パレットに水を張っておく
次の日も同じ色を使う予定があるときは、パレットに少し水を張っておくのもおすすめです。
乾燥を防ぎ、固まるのを遅らせることができます。
ただし、長時間放置するとカビが生えることもあるので、1〜2日以内には洗い流しましょう。
● 使い捨てパレットシートを使う
最近は、アクリル絵の具用の「ペーパーパレット」や「使い捨てパレットシート」も手軽に手に入ります。
使い終わったらそのまま捨てられるので、洗う手間がなくとても便利です。
コスパを考えるなら、100均のクッキングシートをカットして代用するのもアリ。
● 予防のポイントまとめ
| コツ | 効果 |
|---|---|
| 絵の具が乾く前に拭く | パレットに膜が残らない |
| 使用後に水を張っておく | 乾燥を防いで再利用しやすくなる |
| 使い捨てシートを使う | 洗う手間ゼロ、時短になる |
ちょっとした工夫を続けるだけで、パレットはずっときれいなまま保てます。
お気に入りの画材を長く使えると、絵を描く時間ももっと気持ちよくなりますよ。
まとめ

アクリル絵の具は、一度乾くとプラスチックのように硬くなるため、落とすのはなかなか大変です。
でも、素材に合った方法を知っていれば、ムリなくきれいにできます。
お湯やアルコール、専用リムーバーを上手に使い分ければ、カチカチになった絵の具もスルッと落とせます。
それでも落ちないときは、無理をせず、再利用パレットとして使うのも立派な選択です。
そしていちばん大切なのは、固まる前にひと拭きすること。
使い終わったあとに少しだけ手をかけるだけで、次に描くときのストレスがぐっと減ります。
お気に入りのパレットを長く大切に使って、絵を描く時間をもっと楽しんでくださいね。



この記事では、パレットの素材別に「安全でラクに落とせる方法」を紹介します。
100均グッズや身近なアイテムを使った裏ワザも登場しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。